あなたのお口、乾いていませんか?縁の下の力持ち!唾液の役割とは?
2023年6月22日
みなさんこんにちは。淀川区加島の川越歯科医院です。
口腔内の健康維持には、様々な要素が関与しています。その中でも唾液はとても重要な役割を果たしています。
唾液は健康な方でだいたい一日1.0~1.5リットル出ています。唾液には私たちの口内環境を守り、食事の消化を助けるだけでなく、口臭の予防などさまざまな役割があります。今まで意識しなかった唾液の存在も今日から頼もしい存在となること間違いなしです!
私たちの生活になくてはならない唾液の9つの作用
1.自浄作用– 唾液の流れにより、食べかすや細菌が洗い流され、口腔内の清潔さを維持します。
2.消化補助– アミラーゼという消化酵素が含まれており、食物の炭水化物を分解して消化を助けます。
3.抗菌作用 – 唾液には抗菌物質が含まれており、口内の細菌の増殖を抑制します。
4.粘膜の保護作用 – 唾液にはムチン(糖タンパク)やリゾチーム、免疫グロブリンなどの成分が含まれており、口腔組織や食道を保護し免疫機能を向上させます。
5.食塊形成作用 – 唾液は味を感じさせかみ砕きをしやすくし食片をまとめて丸め込み飲み込みやすい塊の状態にして嚥下をスムーズにするサポートをしています。むせたり、誤嚥性肺炎を引き起こすのは食道と気管を分ける弁の開閉の衰えだけでなく唾液の減少も大きく関わっています。
6.口内環境の維持 –唾液は口腔内のpHを中性に保ち、飲食による酸性環境を抑えて虫歯や歯周病の予防に役立ちます。
7.粘膜修復作用 -唾液には、傷を治す上皮成長因子(EGF)や、脳の老化を防止する神経成長因子(NGF)などが含まれています。これらは口の中だけでなく、体全体を守る意味でも重要な役割を果たしています。EGFは、上皮細胞の成長を促進させる働きがあり、アンチエイジングに効果もあるとされ最近では化粧品の原料としても注目されています。EGFの働きにより粘膜が傷ついても早く治ります。また、NGFは、海外でアルツハイマー型認知症の治療へ応用する研究も進められ注目されているのです。
8. 再石灰化作用 – 唾液にはカルシウムやリンなどのミネラルが含まれており、菌の出す酸に溶かされた歯の再石灰化を促進します。
9. 発声の補助 – 唾液が適切に分泌されていると、発音や発声がスムーズになります。
唾液は私たちの口内環境を適切な状態に保つために不可欠な役割を果たしています。消化を助けるだけでなく、口内環境の維持や保護、発声や嚥下のサポートなど、さまざまな機能を持っています。
しかし、唾液の分泌量は個人によって異なり、年齢や健康状態、薬物の副作用などによっても影響を受けることがあります。唾液の分泌が不足すると口内乾燥症や虫歯などの歯のトラブルが起こりやすくなるため、定期的な水分補給や適切な口腔ケアが重要です。
唾液の役割について理解することで、口内環境の健康を維持し、口臭や虫歯などの問題を予防することができます。定期的な歯科検診や適切な口腔ケアの実践を通じて、唾液の役割を最大限に活用しましょう。
※本記事は一般的な情報を提供するものであり、個別の症状や治療方法に関しては医師や歯科医師に相談してください。
歯磨き粉の成分について
2023年6月19日
皆さんこんにちは。淀川区加島の川越歯科医院です。今回は歯磨き粉についてお話していきたいと思います。
様々な歯磨き粉が販売されていますが、皆さんはどんな歯磨き粉が自分に合っているかなと意識しながら購入されていますか?自分に合う歯磨き粉を見つけられるようにどんな成分があるのか、どんな効果があるのかを紹介していきますね。
歯磨き粉は日本薬事法により基本成分のみで構成されている「化粧品」と基本成分に薬用成分が入っている「医薬部外品」の2種類に分かれています。歯周病やむし歯の予防により力を入れたい場合は医薬部外品の歯磨き粉を選びましょう。あ
それでは詳しく成分をご紹介していきます。
〈基本成分〉
・清掃剤(研磨剤)
働き:歯の表面を傷つけずにプラークやステインなどの歯の表面の汚れを落とす。
主成分:リン酸水素カルシウム、水酸化アルミニウム、無水ケイ酸、炭酸カルシウム
・湿潤剤
働き:歯磨剤に適度の湿り気を与え分離などを防ぐ。
主成分:グリセリン、ソルビトール
・発泡剤
働き:口中に歯磨剤を拡散させて洗浄し、汚れを除去する。
主成分:ラウリル硫酸ナトリウム
・粘結剤
働き:粉体と液体成分とを結合させ、適度な粘性を与える。
主成分:カルボキシメチルセルロスナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン
・香味剤
働き:爽快感と香りをつけ、歯磨剤を使いやすくする。
主成分:サッカリンナトリウム、メントール、ミント類
・保存料
働き:変質を防ぐ。
主成分:安息香酸ナトリウム
〈薬用成分〉
・齲蝕(虫歯)予防
主成分:モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム
・歯肉炎予防
主成分:塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン
・歯周病(歯肉炎・歯周炎)予防
主成分:塩化クロルヘキシジン、トラネキサム酸、グリチルリチン酸ジカリウム、 β-グリチルリチン 酸、ビタミンE、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、塩化ナトリウム(塩)
・プラークの分解
主成分:デキストラナーゼ
・歯石沈着防止
主成分:ポリリン酸ナトリウム
・知覚過敏抑制
主成分:乳酸アルミニウム、硝酸カリウム
・タバコのヤニ除去
主成分:ポリエチレングリコール
など歯磨き粉には様々な成分が入っています。むし歯が気になるならフッ素がたくさん入ったものを選んでもらったり、歯肉の炎症が気になっていたら歯肉炎予防成分である塩化セチルピリジニウム(CPC)などの表記があるものを選んだりしてみると良いでしょう。
歯磨き粉の種類には無添加のものや低刺激なもの、ジェルタイプのもの液体タイプのものなどたくさんあります。
当医院では高濃度フッ素配合のチェックアップや歯周病予防に特化したリペリオなどが置いてありご希望でしたらお買い求めいただけます。
お口の中は人それぞれ千差万別です。自分に何が合っているのかわからないという方は歯磨き粉を含めハブラシなどもぜひご相談ください!一緒にどんなものがいいか選んでいきましょう!
歯周病治療は順序とスタートダッシュが大事!?
2023年6月15日
皆さんこんにちは。淀川区加島の川越歯科医院です。
今回は歯周病の治療方法と予防法についてお話します。
歯周病は放置すると歯の喪失や全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性を持つ恐ろしい病気です。しかし、現状を把握し、適切な治療とセルフケアの強化など予防策を実施することで、健康な口腔環境を長く維持することができます。
それでは、当医院の歯周病治療について順を追いながら見ていきましょう。
【0.歯周病についての知識を身につける】
歯周病の治療には患者さんご自身の努力とやる気が重要です。自分事としてしっかり取り組めるように簡単に歯周病についてお話します。
【1.歯周病検査、問診、歯垢染色液で現状を知る】
現在の口腔内の状態や生活習慣の改善点などを把握して頂き改善案をご提案させていただきます。なかなか改善できないこともあると思いますがあまり悩まずに出来ることから改善していって頂けたらと思います。
【2.口腔衛生の改善】
歯周病は、日常の口腔衛生習慣の改善が重要です。適切な歯磨きやフロスの使用による歯垢の除去で歯肉の炎症を和らげます。歯科衛生士が正しいブラッシング法やフロッシングの方法などを回数3回、お時間にして2時間かけてご指導いたします。
【3. スケーリング(歯石除去)後メインテナンスへ】
歯肉の炎症がある程度落ち着いたら歯石除去を行っていきます。歯肉に強い炎症があると歯石除去をすると強い痛みと出血を伴うだけでなく歯周病の予後にも関わってきます。初期の歯肉炎であればそこまで影響はありませんが歯周病が進行した場合、ブラッシング状態を改善し歯肉の炎症を落ち着けることは今後も重要になってきますのでブラッシング指導の際に分からないことや出来ないことは訊いて歯肉の改善に努めましょう。歯肉よりも上に沈着する縁上歯石、歯肉よりも下に沈着する縁下歯石があります。スケーリングにかかる回数と時間は歯の本数、歯周病の進み具合、歯石の沈着量で異なります。歯石を除去すればそれで終わりではなくここからセルフケアと定期的なクリーニングをしながら歯肉や歯周ポケットの変化をメインテナンスにより経過観察します。メインテナンスは歯周病の状態により期間が変わります。また、こちらが2か月、3か月と提示していても忙しければ期間を延ばしていただいても大丈夫です。(期間を延ばされる方で口腔内に不安な要素がある場合はお声かけさせて頂きます。)
【4. 抗生物質の処方や咬み合わせの対策】
限局的に歯肉が腫れていたり膿が出てくる場合、直接歯肉に抗生物質を投与したり、内服して頂き一時的に菌の繁殖を止め、数を減少させます。ただし、抗生物質は適切な使用方法と期間を守ることが重要です。また、咬み合わせの関係で負荷のかかっている歯も歯周病になりやすいので必要に応じて歯を削って咬み合わせの調整をします。歯ぎしりや食いしばりが癖になっている場合はマウスガードなどで負荷を軽減することもあります。
【5. 外科的手術】
メインテナンスで歯周ポケットの経過観察をしますがセルフケアや生活習慣が理想的なのに歯周ポケットが深いままの場合必要に応じて外科的手術が必要となることがあります。手術治療には、以下のような方法があります。
*歯周ポケットの掃除と再形成:歯科医師が歯周ポケット内の歯石や感染物質を除去し、歯周組織の再形成を行います。
*骨移植:進行した歯周病によって骨が損失した場合、追加の骨材を移植することで骨の再生を促します。
※どんな外科的手術もすれば上手くいくこと、治ることを保証するものではございません。
喫煙中であったり、口腔内の状態をセルフケアで十分衛生的に保てない場合は予後も良くありません。
【+α.予防法】 歯周病が進行してから治療を受けるよりも予防に軸足を置いた方が簡単で施術も軽くなります。
以下は歯周病を予防するためのポイントです。
*正しい口腔衛生習慣の確立:適切な歯磨きやフロスの使用、定期的な歯科検診を習慣づけましょう。
*健康的な生活習慣の維持:バランスの取れた食事、禁煙、ストレスの管理などが口腔の健康に寄与します。
*歯科医師の定期的なチェックアップ:定期的な歯科検診に通い、歯周病の早期発見、治療を受けるようにしましょう。
いかがでしたでしょうか。今回は当院での歯周病治療についての考え方、進め方についてお話させて頂きました。一度何らかの処置をして終了!という治療ではありません。一生お付き合いしていくつもりで取り組んで頂けると嬉しいです。
歯周病は放置すると口の中だけではなく全身に重篤な問題を引き起こす可能性がありますが、早い段階の予防と検診、適切な治療を実施することで進行の抑制が可能です。「自分は大丈夫」、そう思わずに口腔衛生の改善や定期的な歯科検診、必要に応じた治療方法を適切に行うことが、健康な口腔環境を維持するために重要です。
禁煙方法
2023年6月12日
皆さんこんにちは。淀川区加島の川越歯科医院です。今まで喫煙と歯周病のことや禁煙のメリットのお話をしてきました。
もしかしたらこれらの記事を読んで禁煙にチャレンジしてみよう!と思われた方もいるのでは!と思い今回はいくつかの禁煙方法をご紹介します。
禁煙は健康的な生活を追求する上で非常に重要な一歩ですので是非最後までお付き合いください!
1 決意を固める: 禁煙を成功させるためには、まずは本気で禁煙を決意することが重要です。当たり前のことに聞こえますがとても大切なことです。禁煙するには強い意志と意欲が無ければそもそもチャレンジもできません。ですので、自分の意思をしっかりと確認しましょう。
2 周りにサポートを求め環境を整える: 禁煙は一人で取り組むことも可能ですが、家族や友人など周りの方々のサポートを受けることで成功率が高まります。周りのサポートがあれば環境を禁煙に適したものに整えやすくなります。自宅や職場の周囲から喫煙物やタバコのにおいを取り除き、禁煙をしやすい環境を整えましょう。
3 置き換え療法を行う: 禁煙時にニコチン離脱症状が出ることがありますが、置き換え療法を利用することで症状を軽減することができます。ニコチンパッチやニコチンガムなどの禁煙補助薬を使用することで、徐々にニコチン依存から離れていくことができます。
4 ストレス対処法を学ぶ: 喫煙をしている方の多くは煙草をストレス解消の手段として吸っていることが多いかなと思います。喫煙でストレスを解消するのではなく別のストレス対処法を学ぶことが重要です。ウォーキングやヨガ、深呼吸などのリラクゼーションテクニックを取り入れることで、ストレスを軽減することができます。他にも自分の好きな音楽を聞いたり、マッサージを受けたり自分に合ったリラックス方法を見つけましょう。
5 アプリやオンライン禁煙治療プログラムを利用する: 最近では便利なアプリやオンラインで医師の診療を受けることもできます。それら活用して現在の禁煙状況の把握やモチベーションの向上、コミュニティの参加などを行うとより禁煙が成功しやすくなると思います。さまざまなアプリ等がありますので、自分に合ったものを選んで利用してみてください。
6 健康的な生活習慣を目指す:バランスの取れた食事を摂り、適度な運動を行い、十分な睡眠をとるなど健康的な生活習慣を取り入れることで禁煙への意欲を高めることができます。
7 自分自身へのご褒美を作る: 禁煙は人によっては長く辛い挑戦になると思います。自分をご褒美で励ましましょう。禁煙を継続した週や月ごとに、自分へのご褒美を用意することでモチベーションを高めることができます。
8 目標を設定する: 禁煙の目標を明確に設定することは重要です。具体的な目標を立て、進捗を把握することで、自身のモチベーションを高められ継続していくことができます。
9 禁煙後のメリットを想像する: 禁煙後の健康的な生活や身体への良い変化を想像することも効果的です。禁煙によって味覚や嗅覚が回復し、肌の状態が改善するなど、多くのメリットが待っています。(R5年6月1日投稿の禁煙のメリットという記事を参考にしてください)
10 失敗しても諦めない: 禁煙は簡単なことではありません。しかし、失敗しても何度でも挑戦することが重要です。もういいやと投げ出してしまうとそこで終わってしまうので、失敗してもここまで頑張ったと自分を褒めてあげて次のチャレンジへのモチベーションをあげていきましょう。また、他の人の成功ストーリーを聞いたり、コミュニティに参加したりすることでも、モチベーションを保つことが可能です。
様々な禁煙方法を試しながら、あなたに合ったアプローチを見つけてください。禁煙は時間がかかるかもしれませんが、諦めずに取り組むことで、健康的な生活を手に入れることができます。私共でお手伝いできることがあればご相談ください。成功をお祈りしています!
禁煙を決意!
なぜ虫歯になるの?
2023年6月8日
歯を失う原因である二大巨頭、虫歯と歯周病。
どちらもいつの間にか進行していて原因がいまいちはっきりしない印象がありませんか?
例えば虫歯になって「歯が痛い」と言うとご家族の方や診てもらった歯医者さんで「ちゃんと歯を磨いていないから」とか「おやつやジュースは控えめにね」なんて言われてしまい複雑な心境になってしまった方も少なくないと思います。
―食べた後は必ず磨いているし甘いものも好きじゃない…
―私より妹の方がおかし食べてるし歯も磨かないじゃない!
そうしてそんなもやもやとした気持ちを抱えながらも家に帰ってなんとなく歯磨きの時間を長くしてみたり、力を入れて磨いたり。楽しみにしていた食後のデザートを減らしたり…。
本当に必要ならとても素晴らしい第一歩ですが何事もやりすぎは良くないですし継続も難しいです。
なかなか診療中だけでは十分にご説明出来ないので今回は<虫歯になる3つの原因+α>についてお伝えできたらと思います。
虫歯には「Keyesの3つの輪」ともう一つ、「時間」が加わった「Newbrunの4つの輪」という概念があります。下の図は「Newbrunの4つの輪」を説明しやすくアレンジしたものです。
虫歯には4つの原因があり、その原因が重なった時虫歯が発生します
原因①菌:口の中に虫歯の原因菌がいるかどうか
口の中にはたくさんの細菌がいます。種類にして300~700種類。人によって種類と数は異なります。その中で虫歯の原因となるのがミュータンス菌です。ミュータンス菌は乳歯が生え始めた頃から日々の生活の中で食器の共有やスキンシップによって感染します。
原因②宿主要因:歯の質、生活環境、年齢など
宿主(しゅくしゅ)とはウイルスや細菌、寄生虫などに寄生される側のことを示します。虫歯の場合、宿主はヒトや動物の体のことであり宿主要因とは歯質、歯の形、歯並び、唾液、健康状態、生活習慣や抵抗力などその他色々挙げられます。
原因③糖:菌が糖を分解する時に出来る酸が歯を溶かす
虫歯の原因菌は飲食物に含まれる糖分をエサにします。虫歯菌の食事中に発生した酸によって歯が溶かされます。
―甘いものを我慢すればいい?
その答えは「いいえ」です。日本人の主食である白米や給食でおなじみの牛乳にも糖分は含まれています。砂糖の摂取回数を減らすことは虫歯予防には効果的ですが砂糖の入ったお菓子やジュースを摂取しないことで虫歯にならない、というわけではないのです。
原因④(+α)時間:①~③が合わさっている時間の長さ
①~③が交わる時間、つまりは糖が口の中に停滞しその糖を菌が分解、酸を生成している時間が長いほど虫歯になるリスクは高くなります。上の図を拡大していくと時間の円が大きくなるにつれて①~③の円も大きくなり虫歯のリスクも大きくなります。歯を磨くまでの時間・回数、食事にかかる時間・回数も虫歯ができる原因になっていることが分かります。
まずは①菌ですが当院ではほぼ全員の患者様にご自身の菌を位相差顕微鏡によって確認して頂きます。残念ながら8割以上の方が保有している菌なので発見できて当たり前、口の中に虫歯の原因菌がいることは大きな問題ではありません。
では何が問題なのか?
その答えは口の中の菌の量とその菌の活動量です。
菌は口の中に食料(=糖)がたくさんあると仲間を集めて居心地が良い状態を作ります。そうすると菌の活動が活発になります。
「プラークコントロール」という言葉を耳にしたことがあると思いますがプラーク(=菌のかたまり)の量を減らし、糖の摂取を控え、菌の活動量を減らすことを意味しています。
口の中の菌を全て殺菌することはできませんが、菌が増えないようにコントロールすることが重要です。
②宿主要因ですが、虫歯は生活習慣病の一つなので歯や唾液の質だけでなく食べてすぐ寝る習慣があったり服用している薬の副作用だったり、口呼吸、喫煙、飲酒なども該当します。
歯質に関しては生まれつき弱い場合もありますし加齢や歯周病で歯茎の位置が下がってしまい虫歯になりやすい歯の根っこの部分が露出してしまうケースがあります。歯質は食後のブラッシングで酸性状態の緩和とフッ化物(フッ素)の応用で歯質の強化を図ります。
唾液も重要な働きをしていますので唾液の量を少なくしたり唾液の質をネバネバしたものにしてしまう喫煙・飲酒の習慣や呼吸で口の中を渇かしてしまう口呼吸なども要因として大きく関わるので習慣を変えることが重要です。
③糖ですが砂糖だけを取り上げた内容ではありません。ご飯など炭水化物に含まれるブドウ糖、果物の果糖、牛乳には乳糖と、普段口にする色々な物には糖が含まれます。
飲食のあと3分経つとお口の中が酸性になり、歯の表面のエナメル質が溶けやすい状態になります。その後時間をかけて再石灰化し、元の状態に戻っていきます。再石灰化とは、歯の表面のエナメル質を形成し直す働きを指します。飲食後に歯磨きをせず酸性になっている時間が長いと、再石灰化するよりも溶けるスピードの方が速くなり再石灰化が追いつかなくなり虫歯になってしまいます。
④(+α)時間ですが①~③が一緒に交わる時間が多く存在することで虫歯のリスクが上がります。
*ペットボトルの甘い飲み物を持ち歩いて飲みたいときに少しずつ飲む習慣がある
*飴やチョコレートなどの長時間口の中に滞在するものをよく食べる
*何かしながらだらだら食べる「ながら食べ」
*歯磨きの習慣がない、回数が少ない
などの要因で糖分が長く口の中に滞在する環境が作られてしまうのです。
再石灰化にも時間はかかりますがもちろん虫歯になるにもそれなりに時間がかかるのです。
虫歯になる原因が分かるとなんとなく改善策も見えてきたと思います。
人それぞれ原因は個々にありますが虫歯にならないために多くの方に共通する今すぐできることは
*食べたらすぐ磨く習慣を身につけること
*歯磨き粉はフッ素濃度の高いものを使用すること
*食べている時間と回数を少なくすること
だと思います。
宿主要因は複雑ですぐ分かる要因もあれば分からない要因もあります。気になることがあればご相談ください。
6月4日は虫歯予防デー
2023年6月4日
みなさんこんにちは。
あっという間に6月に入り今年も半分の月日が過ぎていこうとしています。
気候も気温も落ち着かない毎日ですが体温調節、水分補給に気を付けて過ごしたいですね。
さて本日6月4日は、む(6)し(4)ということで虫歯予防デーとされています。
ちょうど歯科検診の結果が返ってくる時期なのでお口の中のことが気になっている頃でもあるのではないでしょうか。
今回は今日からすぐに意識できる簡単な虫歯予防をご案内したいと思います。
1.歯磨き:虫歯予防の基本は、毎日の歯磨きです。食後に毎回磨けると良いのですが、
難しければ1日2回は必ず磨くこと、そして寝る前のはみがきは特に丁寧に
磨くと虫歯予防には効果的です。適切な歯磨きの方法を実践しましょう。
*歯ブラシを45度の角度で歯と歯茎の境目にあてて、
優しく細かく動かします。
*歯と歯の間や奥歯の噛み合わせの面も忘れずに磨きましょう。
*歯磨き粉にはフッ素入りのものを選ぶと効果的です。
2.フッ素の利用: フッ素は虫歯予防に非常に効果的です。
高濃度フッ素配合の歯磨き粉やマウスウォッシュを使うことで、
歯のエナメル質を強化し、虫歯の発生を予防することができます。
適切なフッ素の利用はおすすめですが、高濃度フッ素配合歯磨剤の
小児の使用や成人でも摂取量など注意が必要です。
3.補助清掃用具の使用: 歯ブラシだけでは歯と歯の間まで届きません。歯と歯の間の
汚れや食べかすを取るために、デンタルフロスや歯間ブラシを
使用します。デンタルフロスは歯と歯茎の間を優しくこすって、
歯間ブラシは歯ブラシの届かない歯間に差し込んで磨くといった
イメージで使い汚れを取り除きます。毎日の歯磨きと一緒に
補助清掃用具を使用することで、虫歯のリスクを減らすことが
できます。
4.食事の仕方: 食事内容や摂り方も虫歯予防に関係しています。砂糖やスポーツドリンク、
炭酸飲料、甘いお菓子の摂取は歯に悪影響を及ぼすことがあります。
*唾液が良く出るようにしっかり噛んで食べます。
唾液が出ることで口の中の食べ物を流して汚れを減らしてくれます。
*砂糖や甘い飲み物はできるだけ控えるよう意識します。
特に粘着性の高いお菓子や飲み物は、歯に付着しやすく、虫歯の原因に
なります。
*1日3回の食事と1度の間食を目安に回数と時間を意識します。
いくら歯磨きを丁寧にしても何度も食べ物を口にしているとやはり虫歯
になります。メリハリをつけてだらだら食べないようにします。
5.定期的な歯科検診: 定期的な歯科検診は虫歯の早期発見と予防に重要な位置にあります。
虫歯は最初穴が開いても痛みが無い場合があります。定期的に検診を
受けていることで痛みのない軽度のうちに治療ができる可能性が高い
です。
さらにプロフェッショナルなクリーニングやフッ素の塗布などで、
虫歯のリスクを低減させます。
虫歯は予防が可能な病気です。ぜひ虫歯にならないように出来ることから実践してみてください。文字でお伝えするのは限界がありますのでわからない、出来ないことがあればメンテナンスの時や歯周病の治療の時に気軽に質問してください。定期健診、メンテナンスは大事ですが日頃のセルフケア、生活習慣が虫歯予防の土台であり要となります。
次回もう少し虫歯の出来る仕組みについてお話出来たらと思います。
禁煙のメリット
2023年6月1日
皆さんはたばこを吸うと体に悪い!というのはよくご存じかと思います。
ガンなどの病気のリスク、運動機能の低下、歯周病の悪化など様々な悪影響を身体に及ぼします。
では逆に禁煙のメリットを考えたことはありますか?体に悪いとわかっていても、たばこを止められないという方は禁煙ができればこんな良いことがあるのだという風に考え方を変えられれば禁煙のチャンスが増えるかなと思います。
ですので、今回は喫煙のデメリットではなく禁煙のメリットについて考えてみましょう。
まず、禁煙を始めると直後に起こるいいことがあります。
それは周囲の人への汚染のリスクが減ります。大切な家族やパートナー、友人等への副流煙の心配が少なくなるのです。
約20分後には増加していた血圧と脈拍が正常値に戻り、更に手足の温度が戻って血行が改善されてきます。
約8時間後には血中の一酸化炭素濃度が下がり血中の酸素濃度が上がってきます。酸素濃度が上がると息苦しさなどが改善されます。
約24時間後には心臓発作の可能性が少なくなります。
数日後には味覚や嗅覚が改善し、食事を美味しく食べやすくなります。さらに歩行が楽になります。
約2~3週間から3ヵ月後には心臓や血管など循環機能が改善され心疾患等の発症率が下がります。
約1~9ヵ月後にはせきや喘息が改善し順調にいけばスタミナも戻ってきます。気道の自浄作用も改善されてきているので感染を引き起こし辛くなります。
約1年後には軽度・中等度の慢性閉塞性肺疾患のある方は改善がみられます。
*慢性閉塞性肺疾患とはタバコの煙を吸入することで肺の中の気管支に炎症が起きせきやたんが出たり、息苦しさを感じたりする疾患です。主な原因は喫煙であり、喫煙者の約15~20%の方は発症しているものになります。
約2~4年後には虚血性心疾患のリスクが喫煙を続けている時と比べ35%程減少します。脳梗塞のリスクも顕著に減少することがわかっています。
約5~9年禁煙を続けられると肺がんのリスクも喫煙時と比べて大幅に減少します。
約10年後には様々な病気のリスクが非喫煙者と同じくらいになります。
わかりやすくまとめられた表がありますのでこちらも見てみてください。
引用元:禁煙の効果 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
禁煙には色々なメリットがありますがさらに
・目覚めが良くなった
・たばこ代が浮いて貯金や、別の必要なことに使えるようになった
・お肌が綺麗になった
など良いことがたくさんあります。
何より貴方自身のことはもちろん、健康で長生きすることで貴方の周りの人々を大事にすることができます。
自分だけのことだから…と切り捨てるのではなく周りの人々のためにもまずはその1本を止めてみませんか?
私たちかわごえ歯科医院のスタッフ一同も貴方の禁煙の第1歩にご協力させて頂きますので是非お気軽にご連絡ください。
禁煙の効果 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
中村 正和氏 参考
歯周病と喫煙
2023年5月29日
皆さんは歯周病とはどんな病気かご存じでしょうか?
現在では虫歯よりも歯を失う原因になってしまう程の病気とも言われています。
歯周病の最大の原因はプラーク(歯垢)と言われる歯周病原菌細菌になっており、原因を含めて歯周病について知っている方も多いのではと思います。
(もし歯周病がよく分からないという方は令和5年5月25日の投稿の〈歯周病とは…〉をご覧下さい。)
では、歯周病を悪化させてしまう要因についてはいかがでしょうか。
歯周病を悪化させてしまう要因は複数ありますが、その中の一つに喫煙が挙げられます。更に言ってしまえば喫煙が歯周病を悪化させてしまう一番の原因と言えます。
たばこの煙や成分は粘膜や歯肉から吸収され血管に悪影響を及ぼします。具体的に言うと血管が収縮してしまうのです。血管を通る血液によって栄養や酸素が運ばれておりますが、血液の通り道である血管が収縮すると十分な栄養や酸素が行き渡らなくなります。
そうなると歯周病菌は活発になり、より歯周病が進行しやすく歯が抜けていってしまうことに繋がります。しかし、喫煙していると血行が悪くなる故に歯肉の出血や炎症が表に出てきてくれないので気付いた時にはもう手遅れ…ということも少なくありません。
喫煙者の方は歯周病が進行しやすくもなりますし、そもそも歯周病になりやすくもなってしまいます。
喫煙者は非喫煙者に比べて2~8倍歯周病に罹患しやすい
引用:日本歯周病学会歯周病治療の指針2015
という報告もされています。更に悪いことに喫煙者の方は歯周病治療を受けて頂いたとしても、非喫煙者の方と比べると予後が良くないこともわかっています。
非喫煙者の方と同じように時間とお金をかけたとしても相応の結果を得られないことの方が多いです。
イメージしやすくこちらの画像をご覧ください。
1日に30本たばこを吸っている方が1年間に体内に取り込むタールの量
これは1日に30本たばこを吸っている方が1年間に体内に取り込むタールの量を表したものです。これを飲みたいという方はいらっしゃるでしょうか。恐らく居ないと思います。ですが、喫煙をしている方はこれを飲んでいるのと同じようなことをしているのです…!さらに言うとたばこには副流煙がありますので、周りの人達にもこれを飲むことを強要している…状態になってしまっているかも…?
さて、ここまでをまとめますと喫煙をしていると
・歯周病になりやすい
・歯周病が進行しやすい
・歯周病の進行具合がわかりづらく手遅れになることが多い
・歯周治療を受けていても予後が悪い
というデメリットが挙げられます。もちろんお口の中だけでなく全身にも悪影響を及ぼします。正直歯科医院からすると喫煙というのはデメリットしかありません。まさに百害あって一利なしという言葉が相応しいのです。
様々な事情があり、たばこを止めたくても止められない方が多くいらっしゃるのもよくわかります。
ただその一本が貴方の人生に悪影響なのもまた事実なのです。
是非、当院で禁煙のお手伝いをさせて頂けたらと思いますのでお気軽にお電話ください。
歯周病とは…
2023年5月25日
皆さんは歯を失ってしまう最大の原因をご存じでしょうか?
もう知っていらっしゃる方も多いかもしれませんが実はむし歯…
ではなく歯周病なのです。
現在では歯周病が歯を失う最大の原因となっており、歯の喪失原因の中で約4割を占めているとも言われています。(ちなみにむし歯は約3割だそうです。)
歯周病はプラーク(歯垢)と言われる歯周病原菌により引き起こされます。このプラークはハミガキが不十分だと歯と歯肉の境目に溜まってしまい増殖し、歯肉に炎症を起こします。
初めの内は歯肉に限局した“歯肉炎”と呼ばれる状態で赤く腫れたり出血したりします。そして進行していくと歯を支えてくれている歯槽骨と呼ばれる骨が少なくなっていき“歯周病”となります。歯槽骨が少なくなると歯を支えてくれるものが無くなるので歯がぐらぐらと揺れて、最終的には抜けてしまいます。
言葉だけでは中々伝わり辛いところがあるかもしれません。ですので、ここで植木鉢に入った植物をイメージしてみましょう。植木鉢に入った植物は土に埋められているので基本的には動かないですよね。では土が無くなってしまうと植物はどうなるでしょうか。歯槽骨=土とイメージしてもらい、歯槽骨(土)が無くなれば歯(植物)は倒れてしまうと考えるとわかりやすいと思います。
(歯周病により歯槽骨が吸収され根っこが露出してしまっている模型)
むし歯も恐ろしい病気ですが、歯周病もとても恐ろしい病気です。
何故なら歯周病は基本的に痛みが生じないからです。サイレントキラーと言われる病気でもあります。痛みが無ければ中々異常に気付けませんし、放置してしまいがちになりますよね。ですからいつの間にか末期症状になっており後は歯を抜くしかない…となってしまうことも多くあります。それだけ聞くと怖いですよね…。
ただ歯周病は日本人で言うと約8割の方がなっている病気でもあります。
恐ろしい病気であると同時にとても身近な病気でもありますので付き合い方さえ知っていれば心配しなくてもいいのです。
自分が今どのような状況なのか、必要な改善はあるのか、どのように改善すべきなのかを把握し実行できれば今ある歯を残せて健康寿命を延ばすことに繋がりますし、自分の歯で美味しく食事を続けられることはとても幸せなことだと思います。
最後にまとめとして歯周病が悪化していく理由を挙げていきます。
・不十分なブラッシング
・生活習慣の乱れ(間食が多い、睡眠不足など)
・喫煙
・ブラキシズム(くいしばりや歯ぎしり)
などで歯周病は悪化していきます。心当たりのある方はぜひ、当院へお越しください。
早期の内に改善できれば歯周病を食い止めることができます。
定期的なメンテナンス、適切なセルフケアを心掛け健康的なハッピーライフを送りましょう!
「自分専門家」になろう!
2023年5月22日
突然ですが、ご自身の歯の本数はご存じでしょうか?
最近自分の口の中、歯をまじまじと見た記憶があるでしょうか。
近年はマスク生活の影響もあり特に口元を見る機会が減っています。
ちょっと鏡の前で口角に指をかけて横に引っ張って見てみてください。
気にしていなくても何か異変があると目につきやすい前歯と違い奥歯をしっかり見ること自体ほぼないのではないでしょうか。
久しぶりに見た歯はどうでしょう
ついでに歯茎や舌も見てみてみましょう。
どのような印象を持たれたでしょうか。
この時点で不安を感じた方は一度お近くの歯医者さんで検診の予約をされることをおすすめします。
診てもらって何も問題がなければ安心できますし、問題があれば治療や解消する方法を教えてもらうことができると思います。
事実が不確かなまま不安なまま闇雲に歯磨きや口腔ケアをしてしまうとかえって悪化する恐れがあるので検診はとてもとてもおすすめです。
でも何もないのに歯医者に行くのはめんどくさいし、少し緊張しますよね?歯を大事にしないといけないと思っていてもなかなか行動には移しにくいものです。
今度はどのくらいの方が歯科検診を受けていらっしゃるのか気になってきました!
厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」によりますと過去1年間に歯科検診を受けた方の割合は52.9%であり、過去の平成21 年、24 年の調査ごとに増加しています。多く感じるか少なく感じるかは人それぞれですが2人に1人は何らかの形で歯科検診を受けているということですので日本の歯医者に予防という概念が浸透していなかった時のことから考えるとこれはすごい数字だと感じます。
そんな中、2022年の6月に「国民皆歯科健診」という言葉が話題となりました。国民皆歯科健診とは2025年導入を目標に全国民を対象に年1回の歯科健診を義務化する政策のことです。すでに小学校から高校までは年に1回の歯科健診は学校の義務として行われています。
歯科健診と聞くと虫歯の検査と考える方も多いと思います。しかし虫歯の検査はどちらかというと「検診」にあたります。
検診と健診は似ていますが行う目的、意味合いが異なります。検診は「特定の疾患を対象にした早期発見」を目的とし健診は「健康状態を調べ、生活習慣を見直す」ことが目的としています。
現在、歯科健診を受けようとすると自費になりますが義務化となれば誰もが無償か、かなり低額で一年に一回健診を受けることができるようになるはずです。
今はまだ内容も実施方法も決まってはいませんが国が個人単位での義務化に踏み切ったということはそれだけ口の中の状態が私たちの心身に与える影響が大きいということなのです。
さて、そろそろ自分の奥歯は見てみましたか?
いくら歯が大事、8020!と言っていてもご自身が興味を持って知ろうとしなければ守ろうと思っても歯は守れません。歯科だけに限らず健診は自分の体のことを知って「自分専門家」になるチャンスです。ぜひ国民皆歯科健診が実施されたら意欲的に活用していただきたいと思います。
…3年も待ってられない!という意欲的な方は大歓迎ですので一足先に歯科医院に受診して自分専門家になってしまいましょう!
そしてちょっと歯医者に行く決心がまだつかない方もこれから少しずつブログでお口の中のお話や治療のお話などしていきますのでご興味を持って見て頂けたらと思います。
紫陽花