鼻呼吸で健康の基盤をつくろう
2023年8月31日
皆さんこんにちは。淀川区加島の川越歯科医院です。
夏休みも終わり、皆さん生活のリズムを整えている頃かと思います。今年の夏はとても暑かったですね!今年はマスク着用も個人の主体的選択による判断を尊重するということで緩やかになっています。TPOも考えなければなりませんが季節やコロナと上手に共存していきたいですね。
さて、マスク生活で隠れ口呼吸の方が増えたと言われています。
今回は、口呼吸は何故よくないのか、鼻呼吸との違いはどういったことなのかを比較していきたいと思います。
口呼吸は一般的によくないと言われます。口呼吸をすることによって体にどういった影響を及ぼすのでしょうか。
口呼吸による体への影響
*口腔の乾燥:口呼吸は口の中の唾液の蒸発を促進し、口腔内の乾燥を招く可能性があります。これにより、口臭や虫歯、歯周病をはじめとする口腔の健康への悪影響が考えられます。
*喉や呼吸器系の不快感:口呼吸は、乾いた空気をそのまま肺に送るので喉や気道の粘膜を乾燥させます。冬は特に直接冷たい空気を吸い込むので風邪をひきやすかったり、気道や肺に違和感を起こし粘膜を傷めてしまう場合があります。
*歯並びへの影響:長期間にわたる口呼吸は、成長期の子供において顎の発達、歯並びや顔貌の成長に影響を与えることがあります。
頭痛や不眠:口呼吸は十分な酸素供給を阻害する可能性があり、寝ている間に舌が後方に落ち込み、無呼吸症候群になり、頭痛や不眠の原因になることがあります。
*アレルギーを起こしやすい
直接喉や気管に細菌が入り込むため慢性的なアレルギー体質になりやすい。
口呼吸は一般的にしないほうが良いとされていますが特定の状況や個人の健康状態によって、口呼吸が必要な場合もあります。
口呼吸を必要とする場合
*短期的な鼻閉や呼吸困難時の対処:鼻が詰まっている状況やアレルギー反応などで鼻呼吸が困難な場合に、口呼吸は一時的な対処方法として使用します。
*一時的な体温調整:暑い状況や運動中など、一時的に口呼吸をすることで、体温を下げる効果があるとされる場合もあります。
*発話時のサポート:声楽家やスピーチをする際に、口呼吸が声帯の安定や発声に役立つ場合があります。
短期間と見越した場合口呼吸をすることも良いとされますが基本的には鼻呼吸の補助に止めておくくらいが良さそうですね。
次に鼻呼吸です。
鼻呼吸のメリット
鼻呼吸をすることによってさまざまなメリットがあります。
*鼻は空気清浄機や加湿器:鼻は空気を濾過し加湿する役割を果たします。鼻呼吸をすることで、空気中の微粒子や細菌を取り除き、より清潔な酸素を取り込むことができます。これにより、呼吸器系への負担が軽減されます。
*口腔の健康を守る:口呼吸は、口の中が乾燥してしまい、唾液が減少することにより、口臭や歯の健康に悪影響を与える可能性があります。鼻呼吸をすることで、口腔の健康を保つことができます。
*リラックス効果:鼻呼吸は腹式呼吸を促進し、副交感神経を刺激します。副交感神経の活性化により、リラックスした状態に導かれ、ストレス軽減に役立ちます。
*脳への影響:鼻呼吸は、酸素が効率的に脳に供給されるため、集中力や認知機能を向上させることがあります。また、鼻呼吸をすることで毛細血管から血液の温度を下げ脳の熱を冷ます温度御調節も担っています。
*運動パフォーマンス向上:運動時に鼻呼吸をすることで、酸素供給が効率的に行われ、体力の消耗を減らし、持久力が向上するとされています。
*アレルギー対策:鼻は空気中のアレルゲンを濾過するため、鼻呼吸をすることでアレルギー症状の軽減につながることがあります。
鼻呼吸のメリット、魅力的なものが結構ありました!
最初はマスクというフィルターが増えたことで呼吸がしづらくなり知らないうちに口呼吸をしてしまいますが口呼吸を続けることにより口腔周辺の筋肉が衰えいきます。するとより口が閉じづらくなりマスクなしでも口呼吸に頼りがちになってしまうのです。
口呼吸になってしまう理由は鼻炎などの鼻に原因がある場合もありますが鼻炎で鼻呼吸が全くできないと思い込んでしまっている場合もあります。
習慣的なものですから即効の方法はありませんし、完全に鼻呼吸にすることも難しいかもしれません。しかし少しずつでも鼻呼吸に慣れていきますと徐々に口の環境も変わりますし体質の変化も感じられたりします。
近いうちにまたこちらで改善法のお話をさせていただきたいと思います。
フッ化物(フッ素)は危険?上手に取り入れて虫歯を予防しよう
2023年8月28日
皆さんこんにちは。淀川区加島の川越歯科医院です。
虫歯予防といえば歯磨きの次くらいにその名前が挙がってくるのがフッ素。最近ではフッ化物と言われることも多くなった、歯を守る職業としては欠かせないずっと頼りになる存在です。
しかしフッ素に対し危険視する意見も存在します。今回は皆さんが安心してフッ化物を使っていただけるようにどんなものか知っていただけたらと思います。
フッ化物はなぜ虫歯予防に効果がある?歯を守る3つの働き
*歯の再石灰化を促進する
食事の度に口の中は菌が生成した酸によって酸性に傾きます。その酸が歯を溶かすことでカルシウムやリンなどのミネラルが失われます。これを「脱灰」といい、この状態が続くことでエナメル質に穴が開きむし歯になります。ただ、唾液の作用によって、カルシウムやリンが歯へと戻る「再石灰化」も起きているためすぐにむし歯になるわけではありません。
フッ化物にはこの再石灰化を促す働きがあるので日常的にフッ化物を取り入れることで再石灰化を促してむし歯を予防するとともに、すでに出来てしまった初期むし歯を改善する効果も期待できます。
*歯質の強化
フッ素とエナメル質が結びつくことでフルオロアパタイトという硬い構造を作ります。その結果、ミネラルが歯から溶け出しにくくなり脱灰しづらくなるため、むし歯のリスクが軽減されます。
*むし歯菌の活動を抑制する
フッ素には、むし歯菌の活動を抑え、むし歯菌が出す酸の量自体を減らす効果があります。
このようにフッ化物は歯の修復や強化、原因を軽減することで虫歯から歯を守ってくれるのです。
実は身近なフッ化物
フッ化物はミネラルの一種です。
ですので私たちの慣れ親しんだ身近な食品にも含まれています。
例えばリンゴやミカンなどの果物、イワシ、ダイコンやニンジンなど根菜、飲み物では緑茶や紅茶、ビールにも含まれています。
フッ化物をきちんと知って安全に使おう
フッ化物には確かに危険な面もあります。過剰摂取することで中毒症状を起こしてしまうからです。しかし適切な量で使用する限り、フッ化物応用は安全で虫歯予防に効果的な方法なのです。
*適切な摂取量を守る:フッ化物配合歯科製品(歯磨き粉、うがい薬、フッ素塗布など)の指示通りに使用する。特に子供や幼児の場合は、成人とは異なるフッ素摂取量の指示があります。
年齢 | 歯磨剤のフッ化物濃度と使用量 | 用法 |
歯の萌出~2歳 | 900~1000ppmF 米粒程度の大きさ | 就寝前を含めた1日2回、900~1000ppmFの歯磨剤を使用し歯を磨く。 磨いた後はうがいの代わりにティッシュなどで拭き取るなどする |
3~5歳 | 900~1000ppmF グリンピース大 | 就寝前を含めた1日2回、900~1000ppmFの歯磨剤を使用し歯を磨く。 磨いた後は歯磨剤を吐き出し、うがいは1回程度に止める |
6歳~成人 | 1400~1500ppmF 歯ブラシ全体(1.5~2cm) | 就寝前を含めた1日2回、1400~1500ppmFの歯磨剤を使用し歯を磨く。 磨いた後は歯磨剤を吐き出し、うがいは1回程度に止める |
フッ化物(フッ素)の適切な用法と使用量
・歯磨剤で遊んだり飲み込んだりする危険性があるうちは手の届かないところに保管し保護者が歯磨剤を適量つけた状態で歯ブラシを渡すようにする
フッ素は用法や容量を守り適切に使用することで私たちの歯を守ってくれます。平均寿命も延びた分歯も長く使い続けたいところ。上手にフッ素を活用して失う歯を最小限にしていけたらいいですね。諸説ありますが長く世界的に使われていますので安心してお使いいただけたらと思います。
歯の構造〈エナメル質〉
2023年8月24日
皆さんこんにちは。淀川区加島の川越歯科医院です。
虫歯やフッ素のことについてのお話をしたことがありますが、基本的に虫歯になるのもエナメル質からで、フッ素を塗布し強くなるのもエナメル質です。
ですので今回はエナメル質に焦点を当ててお話していきます。
*歯の構造
・エナメル質
・象牙質
・セメント質
・歯髄と言われる歯の神経
歯の構造について
*エナメル質について
・硬度
エナメル質は人間の体の中で最も硬いとされている。
硬さを表すモース硬度は6-7くらいである。
ダイヤモンドのモース硬度は10とされているのでエナメル質は非常に硬い物質であるのがわかる。
エナメル質の役割は象牙質や歯髄を守ることである
・エナメル質の主成分
エナメル質の約97%がハイドロキシアパタイトでできている。
その中でも無機物の割合は約96-98%(主にハイドロキシアパタイト)で構成されている。
有機物の割合は約2-4%である。主にタンパク質などであり、エナメル質の形成と機能に重要な役割を果たしている。
・色と透明性
エナメル質は透明ではなく、微細な結晶構造により光が乱反射されるため、白っぽい色をしている。
ただし、エナメル質の色は個人差がある。
・形成
エナメル質は、歯の発達初期にエナメル芽細胞から形成されます。
エナメル芽細胞は、エナメリンやアメロゲニン(エナメリン、アメロゲニンはエナメル質に存在するタンパク質)を産生し、分解後には石灰化しエナメル質ができてくる。
ちなみに乳歯の歯胚(歯の卵のようなもの)が作られ始めるのが娠約6~10週目頃です。妊娠9~10週目にはエナメル質なども作られてきます。
・臨界Ph
通常口腔内のPhは約7.0の中性くらいです。
このPhが下がれば下がるほど口腔内は酸性に近づき虫歯のリスクが高くなります。
歯が溶け始めるのがエナメル質だと大体約5.5となっています。
象牙質だと約6.0~6.8で溶け出すとされているので、エナメル質がある程度酸に対して抵抗力を持っているのがわかります。
もちろん抵抗力があっても長期間の酸の曝露や口腔内の環境によって脱灰し虫歯になってしまいます。
唾液の機能の一つに再石灰化作用というものがあります。
これにより、エナメル質は初期虫歯程度であれば修復されることがあります。
エナメル質は、とても重要な役割を持っています。それは象牙質や歯の神経などを保護したり、硬いものを噛むためだったりと様々です。エナメル質を始めとして健康な歯の維持には適切なブラッシング、定期的な歯科検診、正しい生活習慣などが重要です。ご自身でも歯について理解し、適切なケアを行うことで、生涯入れ歯知らずで過ごせるように頑張りましょう!
お口の味方キシリトール!
2023年8月21日
皆さんこんにちは、淀川区加島の川越歯科医院です。
以前に虫歯になり辛い人工甘味料のお話をしました。その中でキシリトールも出てきていたと思います。
キシリトール人工甘味料の中でも特に虫歯予防を期待できるものになっています。
今回はキシリトールについて詳しくお話ししていきたいと思います。
*キシリトールについて
・糖アルコールの一種
・砂糖と同等の甘さを持つ
・砂糖の3/4程のカロリー
おさらいですが虫歯は、主に口腔内に存在する細菌が飲食物の糖分を代謝して生成する酸によって歯のエナメル質が侵されることで発生します。一般的な砂糖(ショ糖)を摂取すると、これらの細菌が増殖し酸を生成し、エナメル質が溶かされるので虫歯の原因となります。
ですがキシリトールは、これらの細菌の栄養にならないので代謝を妨げることで酸の生成を抑制することができ虫歯予防に繋がっていきます。
また虫歯の原因となる細菌の増殖を抑える効果があり、虫歯や歯周病の大きな原因である歯垢(プラーク)の形成を部分的に抑えることもできるとされています。
キシリトールは甘みを持つのでそれに刺激され唾液の分泌を促進する作用もあります。またキシリトール入りのガムなどであれば噛む回数が増えると思います。咀嚼すればするほど唾液が出やすくなりますのでこれも唾液の分泌を手助けします。
唾液には口腔内の酸を中和し、歯の再石灰化を促進する作用だったり、ある程度汚れを洗い流す自浄作用だったりと様々な力がありますので唾液の分泌が増えるといいことばかりです。(あなたのお口、乾いていませんか?縁の下の力持ち!唾液の役割とは?参照)
そのため、キシリトールを含むガムやタブレット、普通のお菓子の代わりにキシリトールが配合されたグミやチョコ、日常品であれば歯磨き粉などを上手に使用することで、虫歯のリスクを減少させることができます。
ただし、もちろんキシリトールを摂取するだけで完全に虫歯を防げるわけではありません。食後にはきちんとブラッシングをしたり、適切な食生活習慣などを心掛けたり、定期的なメンテナンスなども重要です。
ちなみにスーパーやコンビニなどで売っているキシリトール配合のガムはほとんどが約50%しかキシリトールが入っていません。
100%配合となると歯医者などでしか売っておりません。
当医院ではキシリトール100%のガムも販売しておりますので、お気軽に物品だけでも買いに来てください!
100%キシリトールガム
虫歯になりにくい人工甘味料!?
2023年8月3日
皆さんこんにちは。淀川区加島の川越歯科医院です。
プロテインのお話をした際に人工甘味料のことがチラリと出てきました。
なので今回は虫歯にならない人工甘味料についてお話していきたいと思います!
一般的に、人工甘味料の中には虫歯になりにくいものが多数存在します。まず虫歯は、口腔内の虫歯菌が糖質を分解した時に出てくる酸によって引き起こされます。この酸は歯質(エナメル質・象牙質等)を溶かし、虫歯を作ってしまいます。
人工甘味料は、砂糖の代替として使用できます。人工甘味料の中には砂糖の何倍も甘みを感じられるものもありますが、虫歯菌がエネルギー源として利用できないため、虫歯のリスクが低下する可能性があります。それでは虫歯になりにくい人工甘味料を紹介します。
人工甘味料
*キシリトール
キシリトールは砂糖よりもカロリーが低いとされています。さらには虫歯予防にも役立つ人工甘味料です。ただし、摂取しすぎると下痢を引き起こすことがあります。
*アスパルテーム
アスパルテームは砂糖と同じ1g約4カロリーですが、砂糖の約200倍の甘みがあるため少量で十分甘みを感じられます。多くの低カロリー飲料や食品に使用されています。また糖質ではなくアミノ酸で構成されているので虫歯のリスクが低いとされています。
*サッカリン(サッカリンナトリウム)
サッカリンは水に溶けづらく、サッカリンナトリウムは水に溶けやすい性質を持っています。砂糖と比べ約200~700倍の甘みがあるとされています。さらに体内に吸収されないので実質0カロリーです。また、食品だけでなく私たちに身近な歯磨き粉に使われていることも多いです。糖質系甘味料ではなく非糖質系甘味料なので虫歯のもとにはならないとされています。
*スクラロース
スクラロースは砂糖の約600倍の甘みを持ちます。虫歯菌はスクラロースを栄養にできないので虫歯の原因になり辛いとされています。さらに体内で代謝されないので0カロリーでもあります。熱にも安定しているので様々な食料品に使用されています。
*ステビア
ステビアは植物由来の甘味料で砂糖300倍の甘みがあり、自然な甘みを持ち糖の代替として広く使用されています。抗菌作用があり虫歯ステビアは虫歯予防にも役立つとされています。
これらの人工甘味料は、適切な量で摂取される限りにおいては、一般的には安全です。ただし、重要なポイントは、人工甘味料の使用が虫歯の予防策の一部であるとしても、良好な口腔衛生習慣(定期的な歯磨きやフロスの使用)を維持することが重要です。また、歯医者の定期的なメンテナンスを受けご自身での適切なセルフケアに努めることも重要です。