Perio / 歯周病

たった1本の歯で人生が変わることだってある?!

まず、下の画像を見てみてください。

どのような印象を持たれますか?

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※お見せした写真は極端な例ですが、「歯を大切にしていただきたい」ということをお伝えしたくご紹介させていただきました。

 

上記モデルの女性は同じ人ですが、前歯がある場合と無い場合を比較した写真です。

上記の写真の女性が、婚活や就職活動をするとしたらその結果はどうなりそうでしょうか。

そして、営業や対面販売を10年間するとしたらいかがでしょうか。

デートや同窓会、カラオケ、結婚式、父兄参観、法事に行くとしたら・・・。

 

みなさんが普段気に掛けない「歯」次第で、あなたの人生も明らかに変わってくると思いませんか?

 

 

歯が失われる原因、ナンバー1をご存知ですか?

一般の方が思われている歯が失われる原因ナンバー1は

「虫歯」だと思います。

しかし、実際はそうではありません。

実は、ナンバー1は「歯周病」です。

 

事実、30代の80%以上は歯槽膿漏(歯周病)

を患っており、日本人が歯を失う原因としては、

虫歯よりも歯槽膿漏(歯周病)で歯を失う方のほうが

圧倒的に多いのです。

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歯槽膿漏(歯周病)は歯を支えている顎の骨が溶けてしまう怖い病気です。

基本的には、一度、溶けてしまった骨は再生しません。さらに、歯槽膿漏(歯周病)にかかってしまうと、自分では気づかないうちに、強烈な口臭を周囲にまき散らします。

 

また、歯周病は歯を失うだけでなく、様々な病気との関連性が多く報告されています。

 

 

歯周病と全身疾患の関連性

あまり知られていない事ですが、

歯周病はお口の中だけではなく、全身疾患との関連性もあります。

関連性が報告されているものとして次のものがあります。

 

癌 低体重児出産 早産 動脈硬化 肺炎 心筋梗塞 歯周病 糖尿病 エイズ

 

特に歯周病と関連が深い病気が糖尿病です。

糖尿病の人は、感染に対する抵抗力が弱まっているため歯周病にかかりやすく、重症化しやすいと言われています。さらに、歯周病菌は毒素や炎症性物質を大量に放出するのですが、これがインスリンの効きを悪くさせ、糖尿病を悪化させることも危険視されています。

つまり、糖尿病があると歯周病になりやすく、歯周病があると糖尿病が悪化しやすいという関係性が存在するのです。

 

また妊娠中の歯周病の悪化は、お腹の赤ちゃんにも影響を及ぼす事がわかってきています。

低体重児を出産した母親と、正常体重児を出産した母親の歯周病の進行程度を比較した調査では、低体重児を出産した母親の方が歯周病が進行していたという報告があります。また、妊娠中の歯周病をそのままにしておくと、早産の確率が高まることも指摘されています。妊娠中でも歯周病の治療は可能ですので、4~8カ月の安定期に治療を受けることをお勧めします。

 

エイズに関しては、歯周病菌の作り出す物質がHIVを再活性化することが証明されており、エイズの発症・進展に関連する可能性が示唆されています。

 

そして、ここ最近では、歯周病と「癌」との関連性が指摘されています。

ある報告では、歯周病患者は、口腔癌、咽頭癌、喉頭癌、食道癌などの発生リスクが高いという結果が発表されています。また、腎癌、膵癌なども歯周病と関連している事が報告されています。

 

このように、歯周病は歯を失う病気というだけではなく、全身疾患にも関連してくる恐ろしい病気という認識が大切です。

 

 

毎日の歯磨きで歯周病は予防できる?

多くの患者さんから幾度となく、「毎日、歯磨きをしているのに、どうして歯槽膿漏(歯周病)になってしまったのですか?」ということを聞かれます。その答えの一つとして、歯周病(歯槽膿漏)が人から人へ移る感染症であるということです。

感染症である以上、物理的な清掃(歯磨き)だけで

感染予防をすることはできません。

 

さらに、歯周病菌はバイオフィルムと呼ばれる強力な

バリアで守られていますので、

歯磨きだけでは、そのバリアを除去することが非常に困難です。

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さらにさらに、歯の表面に長期間付着していた歯垢が、唾液中のカルシウムを吸着することによって歯石になります。

歯石そのものは何も悪さをしないのですが、歯石が歯肉の溝(歯と歯肉の間には溝があり、歯肉の炎症が進行するほど溝が深くなります)にも付くことで、歯肉に対する刺激(歯肉の溝を押し広げようとする刺激)を与えます。

また歯石には歯垢が極めて付着しやすく、新たに歯石に付着した歯垢の中にいる細菌(歯周病菌)の働きにより、歯肉の炎症をさらに進行させていくことになります。

歯石は歯磨きでは取り除くことが出来ません。

 

つまり、いくら歯磨きを毎日しっかりしたとしても歯周病予防には限界があると言うことです。ではどうすればいいのか?

 

その答えは、定期的に歯科医院で歯垢・歯石・バイオフィルムを除去してもらうことです。

歯科医院では専門の器具を用いることにより、これらを除去することができます。

 

「厚生省疾患実態調査(1987年)」で次のような興味深い報告がありました。

 

 

【年代別・歯科医院のかかり方と現存歯数】

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このグラフは「歯医者に行く『目的』次第で、将来的に残っている歯の数が変化する」ことをあらわしたものです。

 

「何か歯に問題が生じた時に歯科医院に行く」というのが一般的な方の考えだと思います。

ですが、そのような通院方法だと80歳にはどのぐらい歯が残っていると思いますか?

なんと、0本(!!)です。

 

歯がまったくなく、総入れ歯の生活となります。

 

しかし、定期健診で歯科医院に通われている患者様の歯は、80歳でも20本以上あります。

 

定期検診に来られる患者様は、歯に異常がなくても来院される方です。

 

定期的に来院する習慣のない方にとっては「なんで異常もないのに歯科医院に行くの?」と疑問に思うかもしれません。

 

しかし、「異常がなくても歯科医院に行く」という考えがあるかないかで、将来、あなたに残っている歯の本数が変わってくると言っても過言ではありません。

 

定期健診では、悪い部分の早期発見・早期治療が可能になることはもちろんですが、何よりも歯周病の原因となる歯石・歯垢・バイオフィルムの除去を行いますので、歯周病予防には欠かせない習慣となります。

 

2カ月~3カ月に1度の定期検診を受診されることをお勧めします。

詳しくは歯のメンテナンスを参照下さい。

 

 

歯科医師と患者様との「二人三脚」による歯周病治療

当院では、一方的に治療を施すというスタンスはとっておりません。

私たちも頑張りますが、患者様も出来ることを(ご自宅でできるケア)頑張って頂くというスタンスです。

 

私たちが治療することにより、歯周病を改善することはできます。

しかし、あなたが今までと同じ生活習慣のままであれば、歯周病が再発してしまいます。

それでは意味がないですよね。

 

下の統計を見てみてください。

汚れ

出典:日本歯周病学会誌

 

この統計はご自宅でのお口の清掃で、使う道具により落とせる汚れの割合も変わってくる事を示したものです。

日本では「歯ブラシ万能主義」が横行しており、歯ブラシで歯を磨けばすべての汚れが除去できると考えていらっしゃる方は多くいます。しかし、統計を見て頂きますと分かるように、歯磨きだけでは、汚れの6割しか落とすことが出来ません。

デンタルフロス、歯間ブラシを併用することで、磨き残しを更に減らすことが可能となります。

 

GUM デンタルフロス

歯科医院でできることは限られています。

患者様の日ごろのケアをしっかりして頂き、それでも落とせない汚れを、定期的に歯科医院で落とすという考え方が、大事な歯を守り続けるためには大切となります。

 

私たちは、患者様の日ごろのケアを、効果的に、そして適切に行えるようサポートさせて頂きます。

 

 

とにかく早目の来院が重要!

歯周病(歯槽膿漏)の恐ろしいところは、サイレントキラー(静かな殺し屋)と呼ばれるガンや脳卒中などと同様に、痛みが伴わないため、あなたが気付かないうちに病気が進行してしまい、気付いたときにはもう手遅れになってしまっているということです。

 

歯周病(歯槽膿漏)にかかった患者さんは、「グラつきだした歯を治したい」「以前と同じように物が噛みやすくなりたい」という希望を持って、歯科医院に来院されます。

 

しかし、多くの場合、「グラついた歯を抜きます」と診断されてしまいます。

歯科医院で行われる抜歯のうち、約8割が歯周病(歯槽膿漏)によるものだという報告もあります。

 

歯周病(歯槽膿漏)は末期になると、決定的な治療法や特効薬がありません。

歯科医師としても、歯周病(歯槽膿漏)の初期段階での治療は自信がありますが、末期では延命がせいぜい、というのが本音です。

 

しかし、早目の来院によって、その後の状況が大きく変わってきます。

ですので、下記のセルフチェックに該当する箇所が1つでもありましたら歯科医院への来院をお勧めします。

 

 

歯周病セルフチェック

下記のような症状が一つでもありましたら、すぐに歯科医院に来院してください。

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当院の歯周病治療

当院は、大阪府大阪市淀川区の加島という地で歯周病・予防治療を始めたのは、もう20年以上も前になり、歯周病・予防治療を始めていた歯科医院は当時少なく、当院だけが行っていました。

知識や技術はもちろんのこと、なにより歯周病治療は「経験」が求められます。

20年以上も前から経験を積んでいた当院が行う歯周病治療の内容は以下の通りです。

 

デブライドメント(スケーリング)

歯周病は、歯周ポケット(歯と歯茎の境目)のなかに

潜む異常繁殖した歯周病原菌が、歯肉や歯を支える骨

である歯槽骨を攻撃し、骨を溶かす病気です。

歯周病の進行を食い止めるためには、

歯周ポケットに隠れている歯周病原菌を除去しなくて

はなりません。

その除去する作業は「デブライドメント」と呼びます。または、「スケーリング」ともいいます。

この治療をすることで歯茎の腫れが引きます。

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フラップオペ(外科手術)

フラップオペとは、外科手術によって歯茎を開き、歯茎のなかに隠れている歯石を除去する作業のことを指します。

歯周病が進行すると、原因菌はどんどん歯ぐきの下の方に進んでいきますので、表面の歯石を除去するだけでは対応できなくなります。

そこで、下の方に進んでしまった歯周病菌を除去するため、歯ぐきを切開し歯周病菌のすみかである歯石を除去します。

 

 

コラム―歯周病予防が、「寝たきり」「ガン」を予防する①

これは、歯周病を予防することで(つまり、歯を失わないようにすることで)「寝たきり」「ガン」予防につながるという事です。

 

歯を失ってしまうと「ものをしっかり咬む」ことができなくなります。

ものをしっかり咬むことができなくなると「脳細胞の委縮」「唾液分泌量の減少」が生じます。これが原因で「寝たきり」「ガン」になってしまう可能性が高くなってしまう事をここでお伝えしたいと思います。

 

まずは「寝たきり」について解説しましょう。

下のグラフをご覧ください。

 

【歯の良い高齢者ほど寝たきりが少ない】

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このグラフを見てすぐにわかることは、「自分の歯が残っている高齢者ほど、寝たきりが少ない」ということです。

ご自身の歯が残っている高齢者ほど健康に暮らしている反面、ご自身の歯が残っていない高齢者は寝たきりの方が実に多いのです。

 

これは、「咬む」ことと「脳の神経細胞の活性化」が

関係しているためです。

歯がなくなっている人は当然良く咬むことが

できませんので、脳細胞を活性化することは

できません。そうなると徐々に脳細胞が衰えていき、

寝たきりや痴呆の原因となります。

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コラム―歯周病予防が、「寝たきり」「ガン」を予防する①

日本人の三大死因の第一位が「がん」です。死因の3割を占めています。

 

国立がんセンターが提唱する「がん予防12か条」をご存知でしょうか。

ここには、がんを予防するために日常生活の中で取り組める対策が紹介されていますが、

12か条あるうち、実に7か条が「食事の内容」に関するものでした。

 

また、癌の原因となる毒性物質は、だ液に30秒間つけることで、極めて少なくなります。

つまり、日常的に唾液をよく出すことがガン予防には効果的なのですが、唾液は、物を「よく噛む」ことで大量に分泌されます。ものを良く噛むためには健康な歯が不可欠ですが、それがなければ結果はおわかりですよね。

 

 

「歯周病に悩まれている」患者様へのメッセージ

近年、「介護」に関する問題がテレビや雑誌で目にする機会が多くなったような気がします。

介護が必要な寝たきりには、歯の本数が関係していることはさきほどお伝えした通りです。

歯がどんどん少なくなってしまう背景には歯周病が主な原因としてあるのですが、歯周病に対する治療方法が確立されている現代では、歯科医院にて定期健診を行えば、そこまで心配する病気ではありません。

 

定期的に歯周病治療を行い、高齢になっても歯を20本以上残すことで「介護知らず」に

なることも決して机上の空論ではありません。

 

また、介護を必要とせず、好きなものを好きなだけ食べ、元気にイキイキと過ごす姿はご家族を励まし、そして元気づけることができます。

 

高齢になっても健康でいることは、ご家族への責任であり、なによりもご家族への「愛情」なのではないでしょうか。

 

歯周病は「サイレントキラー」とよばれるように、知らないうちに進行しています。

そのため、お早めに歯周病治療を受けられることをお勧めします。また、十分な治療を行うためには、「担当歯科衛生士制」、「家族単位の歯周病治療」が必要になってきます。

ぜひかかりつけ歯科衛生士をお持ちになり、家族単位の歯周病治療、予防プログラムを受けられることをお勧め致します。

もちろん、当院ではそのどちらも行っておりますので、歯周病に悩まれている方はぜひお気軽に当院へご相談下さい。