考え方1 「勇気づけ」治療の実施
当院のお子様への治療に対する基本方針は、無理強いをしない事は当然ですが、
「勇気づけ」がキーワードとなります。
当院では痛みを抑えた治療(詳しくは虫歯治療をご参照ください)を実施していますので、痛みが原因で歯医者さんが嫌いになってしまうことは少ないのですが、お口の中に機械が入ることの抵抗感、歯を削る振動が原因で歯医者さんが嫌になってしまうケースがあります。
しかし、治療するにはこれらは避けては通れない事ですので、なんとかお子様に克服して頂く必要があります。
そのために行うのが「勇気づけ」です。
勇気づけとは、お子様とのコミュニケーションをはかりながら、お子様の可能性を上手に伸ばしてあげることです。
子供には無限の可能性があります。
その可能性を上手に引き出すことで、
お子さんは自らの力で目の前の壁を突破
してくれるものです。
その可能性を引き出すために、当院では
アドラー心理学・カウンセリング・コーチング等
を活用し「勇気づけ」治療を行っております。
この治療を実施することにより、今では多くの
お子さんが「楽しみながら」当院に来院して頂いております。
考え方2 歯医者さんを嫌いになって頂きたくない・・・・
「考え方1」で勇気づけ治療についてお話ししました。
歯科医院でこの手法を導入しているのは珍しいと思います。
通常は「教育」の場で用いられる手法です。
なぜ当院がこのような手法を導入していると思いますか?
それは、「お子様には、歯医者さんを嫌いになって頂きたくない」という一心からです。
「歯医者を嫌いになる」ということは将来的に「歯医者に自ら進んで行かなくなる」という事です。
小さい頃は、お父さん・お母さんがいるので、しぶしぶお子さんも来院してくれますが、
親御さんの手を離れてしまったら、あとは歯科医院に来院するかしないかは、本人の意思次第となります。
詳しくは歯のメンテナンスでご説明しますが、日々の歯みがきだけでは、虫歯・歯周病は予防できません。どんなに丁寧にそして毎日歯磨きをしていたとしても、どうしても磨き残しや歯垢・歯石が蓄積され、虫歯・歯周病の原因となります。
これらの汚れは、定期的に歯科医院にて特殊な道具を使って除去する必要があります。
つまり、定期的に歯科医院にてこれらの汚れを除去する習慣がないという事は、早期にご自身の歯を失ってしまうということを意味します。
このような残念な結果にならないためにも、いかにしてお子さんの恐怖心、歯科医院に対するマイナスイメージを払しょくしてもらうかが大切だと私たちは考えます。
また、あまり知られていない事ですが、「お口の健康」と「学習能力」、「身体の健康」は密接に結びついています。
お口の病気が原因で「ガン」「心筋梗塞」「痴呆症」「糖尿病」を誘発する可能性もあるのです。
つまり、私たちはお口の健康を通して患者様の
身体の健康を守ることができる立場にいます。
そして健康だからこそ達成できる「実りある人生」
のサポートをすることもできる立場にいます。
すこし大げさかもしれませんが、この責任ある立場に
私たちがいることをしっかりと認識し、患者様の
「健康」そして「実りのある人生」のサポートをする
という思いで日々診療にあたっております。
以下の項目からは、お母さんに読んで頂きたい部分となります。
「お子さんを虫歯にならせないためにはどうすればいいか」などについて書いていますので、是非ご一読ください。
虫歯は、風邪やインフルエンザのように人から人にうつる「感染症」だということをご存知でしたか?
生まれたばかりの赤ちゃんには虫歯の原因となる菌がいませんので、虫歯にはなりません。多くの場合、生後半年~2、3歳の間に周囲の大人からのスキンシップを通して移るといわれています。
虫歯の原因となる菌への感染時期を遅らせることで、将来、虫歯の本数が少なくなるという報告データがあります。
また、24歳を過ぎると、新たにできる虫歯の本数は限りなく「0」に近くなるという統計もあります。
つまり、お子さんへの虫歯菌の感染に注意を払い、成人まで健康な歯を維持することができれば、長期にわたり、虫歯のない歯でいられる可能性が高くなるのです。
感染症である以上、対策が可能ですので、正しい知識で子供を虫歯から守ってあげることがお子さんの将来を考えた際、非常に大切となります。
正しい知識があれば、子供への感染時期を遅らせることが可能です。
感染症対策には、次の3つの方法が効果的です。
「マイナス1歳からの虫歯予防」をご存知でしょうか?
赤ちゃんが生まれた時は0歳です。マイナス1歳とは、お母さんのお腹にいるときの状態で、その時からお子さんへの虫歯感染を予防するための取り組みを行おうというものです。
先ほども述べましたが、虫歯菌は人から人へと感染します。特にお子さんへの虫歯菌の感染は、母親から子供へとスキンシップを通して移るケースが多いといえます。そのため、まずはお母さんのお口の中を清潔に保つことが大切となります。
お口の中を清潔に保つためには、食後の歯磨き習慣に加え、
歯科医院で行われているPMTCと呼ばれる、
"プロによる専用機械を用いた歯のクリーニング"
を定期的に受けられることをお勧めします。
PMTCを受けられることで、
毎日の歯磨きだけでは落とすことができない汚れを
除去することが可能です。
詳しくは、こちらの歯のメンテナンスの項目をご覧ください。
お母さんのお口の中を清潔に保つことは大切なことですが、現実的には、妊娠中から子供が小さい時期のお母さんのお口の中は、虫歯菌が増える傾向にあります。それは、妊娠中には、つわりがあり、食事が不規則になることに加え、吐き気がするために歯磨きがいいかげんになりやすいためです。また、出産後も、子供中心の生活となるため、精神的にも、肉体的にも、時間的にも余裕のない生活となり、お口の中を清潔に保つ余裕がなくなります。
つまり、妊娠中と出産後の育児に追われる時期を合わせた、数年間は、お母さんのお口の中は虫歯菌が棲みやすい状態がつづくのです。
このように、お口の中の虫歯菌が増えている時期に、お母さんが口にいれたスプーンで離乳食をあげる、あるいは食べ物を自分の歯で小さく噛みちぎってあげる際に、虫歯菌が移ります。また、赤ちゃんの手をなめてあげたり、キスをしたりすることで、虫歯菌が移ることもあります。こうしたことに少し気をつけてあげるだけでも、虫歯の早期感染を予防することができます。
しかし、このようなスキンシップはお子さんへの愛情表現として非常に大切な行為です。
スキンシップを安全に行える方法はないのでしょうか?
あります!
キシリトールの活用です!
キシリトールの効果を簡単に言ってしまうと、虫歯の原因となる、悪玉ミュータンス菌を善玉ミュータンス菌にどんどん置き換える現象を引き起こすことができ、虫歯になりにくいお口の環境を作り上げることが可能となります。そうすることにより、スキンシップを通してお母さんのお口から虫歯の原因となる悪玉ミュータンス菌がお子さんに移ることを避けることができます。
最近のキシリトールに関する研究で次のようなものがありました。
マイナス1歳からの虫歯予防として、妊婦さんを対象に研究を続けてきた結果、
「妊婦さんが毎日4回以上キシリトール100%ガムを摂ると、スキンシップによる赤ちゃんへの虫歯感染予防の効果は高い」という研究結果が出ています。
また、スキンシップを行うのはお母さんだけではありません。お父さん、おじいさん、おばあさんも、お子さんと同じスプーンでご飯を食べたりするなどのスキンシップはとりたいものです。「あげないで!」などと言えば、人間関係がギクシャクしてしまいます。
そこでキシリトールです。
お母さんだけでなく、お子さんと接触する可能性がある方々にもキシリトールの利用を勧め、お子さんに移してもいい善玉菌にしてしまえば、 心おきなくスキンシップをとることが出来ます。キシリトールは家族全員がハッピーになれる適切な予防法です。
お母さんから子供に虫歯菌が移ると、子供は免疫力が弱いため一気に虫歯菌が増え、
虫歯があっという間に広がります。しかも、子供の歯は柔らかいため、みそっ歯と呼ばれる、黒くボロボロの歯になります。
虫歯菌から子供を守るため、歯科医院では抵抗力の強化として、次のことを行っています。
以下、それぞれの説明を致します。
歯科医院を受診されることで、次の方法で子供の歯を守ることができます。
TBI(歯磨き指導)
子供が歯磨き好きになるように指導します。
虫歯が多発する部位は、
(Ⅰ)歯と歯の間
(Ⅱ)歯と歯肉の境目
(Ⅲ)歯の溝です。
TBI(歯磨き指導)では、(Ⅰ)と(Ⅱ)から発生する虫歯を防ぐために効果的なブラッシング法を楽しみながら指導していきます。
シーラント填塞
上記(Ⅲ)の歯の溝は複雑で、ブラッシングだけでは虫歯の予防が不可能な部位です。
生え替わったばかりの奥歯の永久歯は大人と比べて溝が深く、そこに食べカスなどがはさまって虫歯になることがよくあります。シーラントは奥歯の溝をプラスチックで埋める虫歯予防法です。乳歯から永久歯に生え替わったタイミングで治療すると効果的です。なお、使用するのは虫歯治療の際に詰め物として使う「レジン」という素材なので安全です。
フッ素塗布
「フッ素」とは、歯の表面にあるエナメル質を強化する性質を持った物質です。
乳歯や生え替わったばかりの永久歯は非常に弱いのですが、フッ素塗布によって歯質を強化することができます。虫歯菌に負けない強い歯を作りましょう!
当院のホームページを閲覧頂き誠にありがとうございます。
簡単ですが、私から親御さんにメッセージがあります。
今は、虫歯のメカニズムが解明され、しっかりした対策をとることで、虫歯「ゼロ」のお子様を育てることも可能になっています。
ある統計では24歳までに虫歯「ゼロ」であれば、
その後虫歯になる可能性はほぼ「ゼロ」に近くなる
というものがあります。
つまり、お子様の将来を考えると、小さいころからの
予防・定期受診をしっかり行う事が大切となります。
これは親御さんが未来のお子様にできる素敵なプレゼント
だと私は考えています。
そのようなことはありません。
少し専門的なお話しになってしまいますが、乳歯には非常に大きな役割が与えられて
います。
1つは、次に生えてくる永久歯を適切な位置へ誘導する役割。
生え換わる時期に乳歯がすでに虫歯でダメになっていた場合、永久歯を適切な位置へ
誘導が出来なくなったり、永久歯自体が生えてこなくなる場合もあります。
2つ目は、乳歯は永久歯が生えてくるスペースを確保する役割も担っています。
虫歯で乳歯を抜いてしまった場合、その隙間を埋めるように、両隣の歯が寄ってきま
す。そうなると、永久歯が顔を出すスペースがなくなり、正しい方向に生えることが
できず、噛み合わせが悪くなる原因となります。
また、乳歯が虫歯になってしまった場合、その歯の周囲は虫歯菌に汚染されています。
そこに生えたてホヤホヤの永久歯が出てきたらどうなると思いますか?永久歯といい
ましても、生えたての時期は乳歯と同じくらいに弱いのです。当然、虫歯リスクは高
まります。
子供の歯はすぐに生え換わるから、虫歯になっても問題ないという考えは非常に危険
であることを認識して下さい。
長期にわたる指しゃぶりの癖は、歯並びや
顎の正常な発育に悪影響を及ぼします。
指しゃぶりが原因で起こる歯並びの異常を
「開口」といいます。
開口になると、上の歯が前に出てきて、
上と下にすきまが出来てしまい、
見た目も出っ歯になってしまいます。
指しゃぶりをする子供に起こるもの
ではありませんが、期間が長引けば長引くほどその割合は高くなります。
短期間で指しゃぶりを卒業できれば、開口の症状は一時的な変化にとどまり自然に治癒することが多いのですが、3歳以降までつづくと噛みあわせは永続的な変化を受けやすいと言われています。
具体的な指しゃぶりをやめさせる方法をいくつか挙げますので参考にしてみてください。
(1)親ができるだけ子供を観察し、指を口に持っていくのを見かけたら優しく注意して
あげます。
(2)指をしゃぶっていると起こる色々な問題について、簡単に子供に話して聞かせる。
(3)子供に何か熱中できるものをあたえる(動物を飼うなど)
その他、指を布でぐるぐる巻きにする、指にカラシを塗るなどの方法をしばしば耳にしますが、このような強引な方法で無理にやめさせると心理的な問題を引き起こす可能性があるため、子供がある程度納得し、自分で意識してやめることができる時期まで待つのが適切です。
癖というのは無意識のうちに行われるので、とり除くのが難しいですが、子供とできるだけコミュニケーションをとり、徐々に止めることが出来るよう根気強く頑張ることが大切です。